M4シャーマン

1939年に、アメリカの戦車兵器は急速に時代遅れになってきていることが明らかになりました。ヨーロッパにおけるドイツ国防軍の優位は、アメリカの上級将校を憂慮させ、アメリカ機甲部隊の近代化の動きを促しました。主な問題は、軍事力でした。多くの戦車は、50口径機関銃や37mm砲等攻撃力に欠ける武器を装備しており、それでは不十分と見なされたのです。だがそこに、救世主が現れました。75mm M3対戦車砲です。しかし当時は、この対戦車砲を搭載できる砲塔はありませんでした。この装備を戦車に搭載するにあたって急ごしらえで作られたのがM3リーです。M2中戦車をベースにした中戦車で、37mm砲を搭載した全周旋回砲塔を基盤とし、75mm砲を車体の右側の側面砲門に搭載しました。1940年8月に、武器科が、75mm砲を搭載した新型車両の図を提出し、1941年4月にT6プロトタイプが大量生産に選ばれました。のちにM4中戦車となり、イギリスには「シャーマン」として知られています(ウィリアム・テクムセ・シャーマン将軍にちなんで名付けられた)。

Dデイに、走行しているM4シャーマン

新型戦車は、車両の後方に星型ガソリンエンジンや、垂直渦巻きスプリング式サスペンションシステム、前面の傾斜装甲のような、多くのすでに実績のあるシステムを備えています。砲塔は、鋳造型均等性鋼で作られている一方で、車体は、溶接型均等性装甲板で構成されていました。シャーマンの装甲と武装は、短砲身の75mm砲を装備したⅣ号戦車やⅢ号戦車よりは優れています。しかし、75mm砲を装備したシャーマンは、のちにティーガー、長砲身の75mm砲を装備した近代化されたⅣ号戦車のような新しいドイツの戦車には劣っていることが発覚しました。けれども、乗り慣れた乗員は信頼性と内部の快適さゆえにシャーマンを好んだのです。一方、75mm徹甲榴弾は敵の堅固な防衛陣地に対して強く、対戦車砲の巣窟や掩蔽壕などを破壊するのに非常に効果があることを証明しました。全部で6700以上のM4のモデルが生産されました。これには改良型や近代化版は含まれていません。シャーマン戦車は、第二次世界大戦のすべての前線で戦闘に参加し、この丈夫な設計の近代化版は、朝鮮戦争や六日戦争でも使われました。

M4シャーマンのX線画像

『War Thunder』では、M4はアメリカ陸軍技術ツリーに分類されています。第二次大戦の車両で、すべてのゲームモードで、バトルレーティング3.7を持ちます。現実と同様に、この戦車は、M3リーやM8A1対戦車自走砲で使用された75mm M3戦車砲を搭載します。まずプレイヤーは、100mの距離から84mmの装甲を貫通できるM72徹甲弾、軽装甲の標的に有効なM48榴弾の2種類の武器が使用可能です。プレイヤーは、第3の武器タイプであるM61徹甲弾をアンロックできます。M61は、より優れた装甲貫通力を持ち(100mで89mm)、また、乗員やモジュールに貫通後のダメージを与える榴弾頭を備えています。徹甲弾は、ストックするよりも使用することをお勧めします。。シャーマンの装甲は堅く、砲塔の前面は、76mmの円形アーチ式装甲で守られており、一方で、たった51mmの厚さしかない前方車体のプレートは、その効果を厚さ80mm近い装甲のものにあげるために、急な傾斜にして設置しています。しかし、車体の側面は著しく薄くなっており、たったの38mmの装甲です。この戦車は400馬力のエンジンを備え、最大速度38km/hを誇ります。

M4は戦闘でオールラウンダーとして活躍するでしょう。砲塔前面の厚さと10度の砲弾俯角は、薄い車体を敵の火器が貫通することから守ることにもなり、ハルダウンのポジションを取るのに理想的な戦車です。車体前面傾斜装甲板は、角度をつけると敵の火器に対して良い防御にもなります。シャーマンの程よい機動力は、敵の側面を取ることも可能で作戦として有効でしょう。M4の主要な弱点は、側面の装甲です。傾斜もなく薄いということだけはなく、その裏にほとんどの弾薬が積まれているからです。戦車の車高の高いシルエットは、隠れにくく見つかりやすいのです。全体的に、M4シャーマンは、武装した何でも屋と捉えることもできます。戦車としても使用可能ですが、何か特定の役割に優れるということはありません。M4はアメリカ中戦車の先駆け的存在であり、ゲームを進めるとこの伝説的なマシンの多くの改良型を操作できるようになります。


著者:アダム・「BONKERS」・リジウィック