『War Thunder』:スポールライナー


『War Thunder』では、さまざまなタイプの戦闘車両に可能な限りのディテールを追加するよう尽力しています。大型アップデート「エアスペリオリティー(Air Superiority)」に伴い、装甲車両の新しい防御機能であるスポールライナー(Spall Liners:飛散防止内張り)を導入しましたが、私たちはあらゆるプラットフォームで本機能に関する議論が交わされていることを認識しています。そこで、このメカニクスがどのように機能するのか、またその能力と限界について詳しく説明したいと思います。

これから主力戦車のスポールライナー全般に関する皆さまの懸念を解消するための記事を追加で掲載する予定です。

まず、スポールライナーとは、実際には一体どのようなメカニクスなのかを説明しましょう。スポールライナーとは、装甲化された戦闘車両の構造保護の一部であり、戦車が貫通された際に主要な区画へのダメージを軽減するように設計されています。そのために、スポールライナーは主要な区画の内側に張り付けられています。アラミド繊維から作られた生地などの素材が最もよく使用されますが、場合によっては他の素材が使用されることもあります。これらのスポールライナーは、金属片の飛散の一部を防止するのに役立ち、金属片の拡散の円錐を減少させることで、装甲貫通によって引き起こされるダメージの影響を軽減します。

『War Thunder』では、スポールライナーの効果は次のように実装されています:主要な戦闘区画の内側、戦車の装甲の主要部分の直下に、スポールライナーの素材を模したモジュールが存在します。これらのモジュールは、車両および現実世界の車両内でどのように配置されているかに応じて、それと同じサイズと形状を持ちます。厚さと抵抗係数を考慮すると、現在実装されているスポールライナーは、通常の装甲厚に加えて、2mmの圧延装甲に相当する防御力を有しています。


このモジュールには構造強度のパラメーターもありますが、戦車から発射されるHEAT弾(対戦車榴弾)またはAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)の金属片によるエネルギーよりも、著しく低い強度を有します。従って、強力な発射体が貫通して衝突すると、スポールライナーは破壊されます。

HEAT弾(対戦車榴弾)、またはAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)の金属片による装甲の貫通で生じた二次フラグメントは、3mm~30mmの均質圧延鋼装甲に相当するほどの装甲貫通力を有します。このように装甲貫通力に大きなばらつきがあるのは、装甲貫通時に形成される、大きさもエネルギーも異なった金属片のシミュレーションによるものです。ゲーム内の金属片の流れは、拡散角度の異なる複数の金属片のグループで構成され、それぞれ異なる装甲貫通力とダメージを持ちます。金属片が強力であればあるほど、拡散の円錐は狭くなり、金属片の数は少なくなります。たった2mmのスポールライナーが、金属片の拡散に影響を及ぼすとは思えないと、皆さまは矛盾を感じてしまうかもしれません。しかし、装甲を貫通する際、各金属片は装甲との接触角度も考慮されるという事実を理解すれば、すべて辻褄が合うでしょう。


発射体の軌道から僅かな偏角で追従する金属片(赤い円錐)は、狭い円錐の拡散角度でスポールライナーに進入しますが、2mmのスポールライナーではこの金属片を阻止するのに十分ではありません。そして、貫通した金属片は戦闘区画に侵入し、戦車内のモジュールや乗員にダメージを与える可能性があります。しかし、軌道から大きな角度で逸れた金属片(黄色い円錐)は、スポールライナーに広い円錐の拡散角度で衝突するため、僅か2mmのスポールライナーでも十分に阻止することができます。無論、金属片の貫通力が高ければ高いほど、スポールライナーで阻止できる金属片の数は減少し、金属片の拡散防止の効果は最小限にとどめられます。また、その逆も同様です。つまり、金属片の威力が弱いほど、スポールライナーの効果は大きくなるということです。

私たちが設定したパラメーターでは、強力なAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)の装甲貫通の効果は僅かにしか減少しないものの、HEAT弾(対戦車榴弾)が与えるダメージ効果には顕著な影響を与えるようにしています。これは、実際にスポールライナーに対して行われた試験結果に基づいています。


また、スポールライナーの追加は行いましたが、ダメージモデルの設定は変更していないことを明確にしておきたいと思います。金属片フィールドのパラメーター(金属片の数、飛距離、装甲貫通力)はアップデート前と同様です。しかし、皆さまから寄せられたフィードバックを確認したところ、金属片の数が貫通後に減少していたことが判明しました。これを調査した結果、ゲームロジックをリファクタリングする過程のゲームコードにエラーを発見し、一部の武器における二次フラグメント数の減少が減少していたことを突き止めました。この問題を修正し、現在は貫通後の金属片のアルゴリズムは意図した通りに機能しています。

スポールライナーおよび金属片の貫通力に関する問題に対して、フィードバックを投稿してくださった皆さまに感謝を申し上げます。



The War Thunder Team