巡航戦車Mk.Ⅳ: A13 MkⅡ

第一次世界大戦後、多くの国が未来の武力衝突における装甲の設計と役割について熟慮していた。イギリスは、世界有数の海軍を原案に「陸上戦艦」(実際に、当初「ランドシップ委員会」と呼ばれた)の構想を練ることに取り掛かり、1930年代の始めまでに2つの異なる装甲の設計思想を決定した。最初の1つは、「歩兵戦車」であった。歩兵に随伴して進軍するよう設計され、スピードは重要視されなかったため、重武装で重装甲であった。もう1つは、「巡航戦車」であった。巡航船のように、装甲よりも火力量とスピードが重要視された。「参謀」ナンバーA9が、ついに最初の巡航戦車、マーク1(Mk Ⅰ)として割り当てられた。12の小さな車輪の車高の低い箱型戦車で、機関銃砲塔が2つあり、主要砲塔にはオードナンスQF 2ポンド砲(3.7 inch榴弾砲を搭載したものもいくらかあった)を搭載した。その後まもなく、わずかに装甲を強化した巡航戦車MkⅡ(A10)が作られたが、ともに生産量は少なかった。なぜなら、新しくより有望な動力伝達装置の開発が進んでいたからだ。





イギリスは、ジョン・ウォルター・クリスティーの速い戦車の設計を承知していたが、ソ連の快速戦車(BT-5)を実戦で見るまでは、その設計に完全に賛同することができなかった(BT-5については前の記事を参照)。彼らは気力を持って、労を惜しまずに快速戦車を手に入れようとしたが、アメリカ政府から妨害された。サンプルを手に入れた時には、ソ連よりも一層狡猾になり、イギリスはクリスティーの戦車を「農作用トラクター」として合法的に搬送できるまでに切り分けた。取り除かれたすべてのパーツや砲塔は、「グレープフルーツ」のラベルを貼ったクレートに入れられ、無事にイギリスまで搬送された(ソ連は、それほど慎重に調査しなかった)。

クリスティーの独創的な設計の基盤をそのまま残したソ連のBTシリーズとは異なり、イギリスはサスペンションと動力伝達装置をその箱型A9/A10戦車に織り交ぜた。スピードを確かなものにするため、装甲は最小限にした。その結果巡航戦車Mk Ⅲ A13 Mk Ⅰと砲塔の装甲がアップグレードした巡航戦車Mk Ⅳ A13 Mk Ⅱは明らかに他のイギリス戦車よりは速かったが、BTあるいはアメリカのM2スチュアートほどではなかった。




これは、ゲーム内にもよく反映されている。実質的なオフロードでのトップスピードは、27mph(43kmh)だが、加速度は平凡でバックスピードには笑いが出てしまう(3mph/5km/h)。地形にはよく対応できるが、方向転換すると即座にスピードを失う。差し迫った戦闘や不十分な訓練のため、モデルの完成を急いだために、完成した生産モデルは信頼性に多くの初期トラブルがあった。問題は実戦導入後にもつきまとい、特に動力伝達装置(道のない移動は取りやめたにもかかわらず)が、問題だった。幸運なことに、これらはゲームには反映していない。

巡航戦車(すべてティア1、バトルレーティングは1.0から1.7)をプレイするにあたって2つの重大な課題がある、もし複雑な名前が気になるなら、3つになる。例えば、巡航戦車Mk Ⅳ(A13 Mk Ⅱ)は、4番目の巡航戦車の改良型、A13参謀ナンバーでは2番目のモデルである事を意味する。実質、A13「Mk Ⅰ」と「Mk Ⅱ」の唯一の違いは、砲塔の側面、後部と前面のわずかな部分に取り付けた鋭い傾斜で幅広の14mm装甲を追加したことだ。それでも、Mk Ⅳはゲーム中で最も弱い装甲を持ち、多くの部分が機関銃相手にすら致命的となる。常に攻撃機に正面で向き合うようにしよう。なぜなら前面が最も強い装甲であり、側面は例えれば紙のように薄いからである。敵にいる場合は、少しでも側面を取ることができれば倒すチャンスが大いに増える。リザーブ「A13 Mk Ⅰ」をプレイする時は、一層こっそりとやり、特に50口径を搭載した戦車に気をつけろ!





最後は、40mm 2ポンド砲だ。とても優れた貫通力と範囲を持つが、たった1種類のラウンド、実弾の徹甲弾(AP)(爆薬は詰められていない)しかない!その上、2つのAPラウンドの貫通転移点はおよそ400mなので、タイプをしばしば変えなければならないかもしれない。誤解しないでほしいのだが、2ポンド砲は強力な武器である。デフォルトの「Shot Mk.1 AP/T」のラウンド貫通力は、10mで80mmであり、500mで61mmである。アップグレードしたラウンド「Shot Mk.1 APCBC/T」は、10mで74mmだが、500mでは64mmあり、2000mのAP/T貫通力は2倍である。(他の何よりも先にこれをリサーチするのを忘れるな!)敵の装甲に致命傷を与えるのは難しいことではないが、倒すとなると致命的なポイント(乗員、弾薬、燃料)の位置を把握しているかどうかに大いに依存するある。当然、ゲーム内の戦車に共通し限定された有効性を持つ標準的な榴弾を持っている。

非常に薄い装甲と徹甲榴弾の欠如を持ちながらも生き延びるテクニックは、地形のカバーと狡猾さをいつも利用することにある。安定したサスペンションのおかげで空中でも発射できるが、致命的な箇所を狙う必要性が、この戦略を無効にする。良いカバーや狡猾さがあって、敵を倒すことができる。残りの弾薬は、より安全な場所に保管されることと想定して、内部での爆発を避けるため、弾薬の積載量を最大の半分にまで減らすことを、私は提案する。そして、当然ながら乗員の経験値だ!幸運なことに、エキスパートモード(SL)の購入をアンロックするのに必要な乗員XPは、ごくわずかである。





歴史的に、巡航戦車(A13)は、ゲームに反映されたその理由のため、それほど成功はしていない。その優れたスピードと地形「チョップ」は、敵を不安にさせたが、敵の侵攻を効果的には止められなかった。悪設計にもかかわらずに実戦に急ぎ、むしろ遅延させる政策と「委員会設計」の結果である限られた成功でもあったが、それでも束の間の寿命に終わり、まもなくクルセーダーシリーズとして知られる「巡航戦車Mk Ⅵ A15」に取って代わられた。とにかく、最終的に世界で最も優れた戦車のうちの一つを生産したイギリス装甲にとって、巡航戦車は重要な進化であり新しいトレンドであった。ジョン・ウォルター・クリスティーの素晴らしい設計概念から生まれた純イギリス産戦車である。


著者:ジョー・「Pony51」・クドルナ