「エイブラムス」のためにミネソタへ

 

私たちの同僚であるClay Remyはミネソタ軍事博物館への訪問や、
いくつかの兵器の装甲と面積を計測したことなどを話してくれました。
そして彼の訪問の後、ゲームモデルに実装する今後の変更を作成しました。




ミネソタ軍事博物館


ミネソタの中心地には、軍務に携わっていること、そしてミネソタの人々への献身の証として存在する現役のナショナル・ガード基地があります。
もちろん、キャンプ・リプリーとミネソタ軍事博物館の話です。(リンク先は英語表記となります。)

英雄的なパイロットであるチャールズ・リンドバーグが彼の少年期を
過ごした、リトルフォールズの小さな町に隣接しているミネソタ軍事博物館は、アメリカ軍やキャンプ・リプリーの装備だけではなく、あらゆる時代で州や国に従事したミネソタの人々の経験や人生にも焦点を当てています。
非常に珍しく、保存状態の良い75mm シャーマンジャンボから、
近代的な戦車やスーパーコブラ攻撃ヘリコプターに至るまでのものを見ることができます。
私たちが兵器を見に行きたいと博物館に連絡を取った時、彼らの運営局はすぐに喜んで私たちを迎える手配をしてくれ、全力で支援してくれました。
ベローウッドで祖父が第5海兵師団に所属していた、博識でフレンドリーな館長、Doug Thompson氏や、他の友好的で献身的なスタッフ全員が、私たちの博物館の滞在中や見学中に、展示品への無制限のアクセスと支援を提供してくれました。






M60戦車シリーズ


継続的に最も正確な戦闘兵器の開発を行い、すでにゲームに登場しているモデルの更新を絶えず懸命に行っています。
しかし、歴史的文献にはよく矛盾が生じ、そのような資料を完全に確認するには時間がかかるため、簡単な作業ではありません。
直接的にそのような兵器を研究し、多数の主要な要素を測定し、記録資料から得た情報を比較することが常に必要となります。
これにより、戦車のCTスキャンを撮るように、本物の戦車の鮮明な画像を把握することができ、
物理データと仮想空間に保管した記録と比較して、必要な場合にゲーム内モデルに調整を行うことができます。


訓練用砲塔で、運用中の砲塔では知ることのできない、装甲の厚さや構造を様々な方法で学ぶことだけではなく、
内部設計や形状について学ぶことができました。訓練用砲塔の最も傑出している点は、
戦車学校の教官がプラットフォームに立って乗組員に指令を出し、銃座に邪魔されることなく乗組員が基地にアクセスできる、
大きな区切られた穴があることです。これにより、砲塔の完全なプロファイルを非常に正確に測定することができ、
乗組員室への内部アクセスなしでは通常見ることができない装甲の鋳造や内部構成の特定の部分を測定することができました。


M1「エイブラムス」



M1エイブラムスの歴史は、
ミネソタ軍事博物館と同じぐらいユニークなものです。
ジェネラル・ダイナミクス社に受け継がれる前に、
クライスラー社によって製造及び建造された最初の
110両の内の1両がM1エイブラムスでした。
この戦車はM1の開発中、及びこの開発期間とほぼ同時に行われていた、M1、M1P、M1A1シリーズの改造計画中、最初のエイブラムスは多くのテスト車両の1両として、アバディーンで運用され、初期製造時は評価の低かったX-M1(LRPI)としても知られています。
このM1の改良プログラムによって誕生したM1IPとM1A1は、適切な方法で保管される場所へと寄付、及び輸送されました。
献身的な博物館のスタッフや、この博物館などですべての兵器の手入れを定期的に行っているキャンプ・リプリーのナショナル・ガードユニットのおかげで、適切に保管されているのです。





M1エイブラムスを一目見てみると、最初の製造型であるM1にも搭載されていた標準的な砲塔や105mm M68砲がM1エイブラムスにも
搭載されていることがわかります。しかし、後部の最外側装甲板や強化された前面のサスペンションは適切な場所に搭載されており、
M1IP計画にあった後部駆動スプロケット上の保持リングはなくなっています。『War Thunder』のゲーム内モデルに使用されているデータ
(その他のゲームに公式的に登場するすべてのエイブラムスも、非常に限定されています)を検証するだけではなく、より改良できるよう
情報との差異を埋めるために、利用可能なM1エイブラムスについての書類を見て、本物の戦車の構造や幾何学を比較するのです。

シャーシや車体をはじめ、最外側装甲板の装甲の厚さは全体的に65mmであるということだけではなく、
1インチの厚さがある外板プレートを備えた38mmの特別な装甲を持つ各層の個別の厚さを確認することから始めました。


30mmの側壁がある側面装甲から、ほぼ平坦に溶接された30mmの追加プレートに至るまで、車両全体の幾何学的な厚さのスキャンを行いました。
しかし、破片が隙間の内部に入らないように、また車輪に対して平行となるように、一部の箇所には車体の側面に
小さい空隙(16分の1インチから4分の1インチ)があります。下部装甲板から上部装甲板まで、車体の前面(低い位置にある装甲版)を
正確に測定することができ、両方のプレートが実際に31mmであることを確認しました。
つまり、ゲーム内モデルにある下部装甲版が、書類に記載があり、また実際の戦車で検証した通りに、
車体の低い位置に取り付けられているプレートが25.4mmから正確な値である31mmに調整されたということです。
下部装甲に備わっている前面装甲の後方空洞の位置決めとなっている最下部のプレートは、前面から後方まで実際に22インチでした。
車体との溶接部にある側面上には、明らかに設計の面で区別できる伝統的な101mmRHAプレート用の取り付けバルジが配置されており、
この部分も適切に検証することができました。その結果、ゲーム内モデルの前面下部は、
設計図や戦車の実物レイアウトに沿った正確な位置づけをされていることがわかりました。


超音波計測器や、磁気非線形定規、キャリパー、写真テレメトリを使用して、パネルからパネルへと、
部位から部位へと砲塔を回りながら同じ方法で研究を続けました。砲塔の表面は、2層(1つは空洞部の中、1つは外)の塗料により
外部の至る所に不一致の部分がありますが、予想通り1.5インチの厚さです。
前部外殻板が架台に設置されるのと同様に、砲塔上に後部板を設置することも可能です。
前面と側面の内部装甲プレートの場合、砲塔の左右にある特別な装甲用の全体的な空洞は約19.5インチあり、
砲塔壁内の空洞部の合計サイズも含め、砲塔の側面壁は12.5インチとなっています。
ゲーム内のモデルや、既知のデータ、資料と比較すると、私たちのモデルが実在する戦車のものと一致しており、
この分野で必要な調整はありませんでした。戦車に費やした残りの時間内も、時間が無くなり、空港にいかなければならない時間まで
一致する特徴を発見し続けました。直接結果を入手することにより、とても正確な構造情報を手に入れることは、公式記録の不足により、
確実なものではないことがわかります。しかし今回、計測に使用した超音波テストを含めた幾何学や、光度計の詳細度が可能にしてくれました。
私たちは、コア構成要素や、装甲、そして、今回の訪問の中で、途方もない手順で立証されたM1エイブラムスはもちろん、NARAとCIAの資料を
基に作成されたゲーム内モデルのミネソタM1エイブラムス(シャーシの改良は別)の構造構成を確認するすることができました。
私たちの調査がこれで終わったというわけではありません。そして、皆様の情報提供もお待ちしております。






The War Thunder Team