Dagor Engine 6.5:新サーフェスレンダリング

『War Thunder』のグラフィックスエンジン「Dagor Engine」をバージョン6.5にアップデートする予定です。今回は『War Thunder』のゲーム環境におけるサーフェスレンダリングの新機能についてご紹介します。

グラフィックスエンジン「Dagor Engine」における以前のアップデートの一つにより『War Thunder』のグラフィックスを物理の法則に従ったレンダリング(※リンク先は英語表記)へと移行しました。そして、複雑な物理モデルにおける様々な表面の反射率を計算する原理に加えて、サーフェスレンダリング時に「Dagor Engine」が処理する要素の識別原理及びその物理的パラメーターについても詳しくお話ししました。




レンダリングは、グローバルイルミネーションや光の反射モデルの複雑性にかかわらず、一定の仮想を構築することが可能です。現実では、自然の土壌の表面は光を乱反射する点において非常に不均質であるという特徴を持っています。このような表面は非常にきめ細かく、直接的な光が土粒子の縁で繰り返し反射して絶えず屈折し、それによって作り出された無数の微細な影に吸収されます。さらに、より反射率の高い雪や砂、岩、砂利といった地表面においても光は同様の原理で乱反射しますが、これらの場合は直接的な光の大部分は周囲の物体に反射します。これまでは、『War Thunder』のゲーム環境における表面には、アルベドや凹凸、微細な正規性、金属量、透光性などの特性がありました。そして、透光性のパラメーターは、動的グローバルイルミネーションの要素におけるパラメーターをリアルタイムで調和させ、シェーディングや反射、さらに、光の乱反射で現実に近い外観を実現するため、直射日光の部分的な吸収を担っていました。すべての誘電体の光の反射機能は、現実世界における誘電体と同様に一定の4%であると考えられますが、より正確に表面の特性を表現するには、モデルの形状とは別に、反射率(光の乱反射ではなく反射する表面の機能)や可視性(周囲の微細な表面を考慮した可視光の割合)などのパラメーターを持つことが望ましいとされています。




Dagor Engine 6.0では、これらのパラメーターを計算モデルに導入することができましたが、技術的な理由(クライアントサイズ)に加えて、多くの環境テクスチャがDagor Engineの以前のバージョンで作成されていたため、環境テクスチャ自体の詳細はゲーム内にありませんでした。この仮想状態の結果、様々な表面からテクスチャの詳細を確実に具現化することができず、さらには逆光時に草で覆われた丘が不自然に見えるなど、透光性のマップの効果により生じる不自然なアーティファクトが発生していました。




Dagor Engine 6.5では、様々な表面のテクスチャ要素からの反射を完全に信頼できる形に移行し、微細な影も導入することができます。これらのアルゴリズムは、『War Thunder』のロケーションを作成するのに使用されていたディスプレースメントマッピングの技術を完璧に補完します。同時に、ロケーションの地表やゲーム環境のオブジェクトの外観が著しく改善されることにより、ゲーム内のあらゆる種類の表面におけるアンビエントオクルージョンも更新されます。




砂利のような小石から巨大な岩といった各ロケーションの要素は、表面にある細かい凹凸の縁で光を確実に反射し、リアルな影を作り出します。そして、これらの微細な反射や影はグローバルイルミネーションのシステムに相互作用し、『War Thunder』のロケーションをより現実に近いものにします。また、実際の地表や自然物に合わせて、水たまり、土の塊、地面に残された履帯の跡、砂、雪の外観も改善されます。




近日公開予定の開発ブログでは、改善されたDagor Engine 6.5の新しいグラフィックスの機能やオプションに関する追加情報をご紹介する予定です。最新情報をお見逃しなく!



The War Thunder Team