『War Thunder』:グラフィックス改良
2025-07-09 09:00
開発者ブログ
大型アップデート「リヴァイアサンズ(Leviathans)」の実施と共に最新のグラフィック技術で表示しながら楽しみたいプレイヤーの皆さまに朗報をお届けしました。前回の大型アップデートからレイトレーシングは大幅に改良したため、その詳細について説明します!
まずはパフォーマンスについて
私たちは、常によりスムーズな体験をプレイヤーの皆さまにお届けできるようにCPUとGPUの負担を軽減させる方法を模索し、パフォーマンスの向上に努めております。
GPU側では、葉のレンダリングなど、レイトレーシングにとって最も負荷の高いシナリオでパフォーマンスを向上させるための方法を思いつきました。木や森を通る光線の追跡は、GPUにとって時間のかかるタスクです。葉や枝に対する光線の確認方法を変更することで、このような場合での深刻なパフォーマンス低下を回避することが可能になりました。これにより、森林の中を走行したり、森林の付近を飛行しながら森林を眺めたりする際の描画が、よりスムーズになりました。
マイクロソフトがDirectXの一部としてOpacity Micro Maps(OMM)と呼ばれる技術を発表したため、このハードウエアを保有している皆さまの体験はさらに向上します。これは、葉のトレースにおいてさらなる進歩となるでしょう。また、マイクロソフトはDirectXにShader Execution Reorderingが追加されることも発表しました。これらの機能はDirectXでプレビュー段階として導入され、全体的なパフォーマンス向上に役立ち、私たちはパフォーマンスをさらに向上させるためにこれらの機能の活用に現在取り組んでいます。
レイトレーシングはGPUに負荷がかかるだけでなく、CPUにも非常に負荷がかかります。レイトレーシングをワールドと同期させるため、アクセラレーション構造を常に更新する必要があるためです。CPU側では、パフォーマンスを制限する多くのボトルネックを特定しました。レイトレーシングは最大8つのCPUコアを使用しており、これらのコアでより高速な処理とより良い同期が行えるように取り組んできました。改善の効果はさまざまな要因(CPUタイプ、RAM速度など)によって左右されますが、どのシステムでもパフォーマンスの向上が見られるはずです。
つぎは画質について
ゲームのビジュアルを向上するのは重要です。レイトレーシングは既に影、反射やアンビエントオクルージョンを改良しています。しかし、次はグローバルイルミネーションを改良する時がやってきました。
アンビエントオクルージョンに代わる新しいオプションを追加しました。私たちはこれを「パストレースド・グローバルイルミネーション:Path Traced Global Illumination(PTGI)」と呼んでいます。2018年にグローバルイルミネーション(GI)をゲームに導入したとき(時の流れは早いですね)、それはビジュアル面のレベルを大きく引き上げてくれましたが、技術は進化し続け、今ではさらに優れた表現が出来るようになっています。
PTGIは、シーン内で反射する光をシミュレートし、間接的に照らされる面の光を計算します。例えば、影や屋内、渓谷などです。古いGIは、まさにこの項目で素晴らしい働きをしてくれますが、制限があり、より単純で不正確なワールドで動作し、範囲も限られていました。
例えば、一つは大抵光漏れとして現れます。これは、光があるべきでない場所に現れることです。これは下記画像(左)の床で確認できます。
PTGIは、これらの漏れをすべて一掃し、室内の照明をシーンの他の部分とより一貫性のあるものにします。また、ご覧の通り、PTGIはより大きな規模で光の反射をシミュレートできるため、より効果的に光を捉えることができます。
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PTGIオフ| PTGIオン
この範囲の狭さは、非常に顕著に表れることがあります。例えば、曇り空の下のマップや広い屋内などにおける戦車戦です。バス停の真ん中の線が、旧GIシステムが適用されていた範囲の端です。
PTGIでは、この制限がなくなり、画像全体に一定のグローバルライティングが適用されます。
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PTGIオフ| PTGIオン
もう一つの非常に顕著な違いは、旧GIは単純化されたシーンで作業を行っているため、多くの場合、表面は空から照らされていないはずなのに、照らされているべきだと判断してしまうところです。その結果、間接的に照らされた部分が必要な量よりも多く青みを帯びてしまいます。
PTGIは実際のシーンに作用し、光の反射をより多くシミュレートするため、この場所はより自然な照明が適用されます。
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PTGIオフ| PTGIオン
より開けた場所でも同じことが見られます。古いGIでは、タイルや舗装がやや不自然な青色が適用されています。
PTGIはこれをより正確にシミュレートし、結果としてより一貫性のある画像が生成されます。
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PTGIオフ| PTGIオン
最後に追加FPSのダウンロードについて
大型アップデート「リヴァイアサンズ(Leviathans)」の実施と共に、お使いのGPUが対応している場合、フレーム生成(Frame Generation:FG)を有効にできます。これには3つの種類があります:
方法やハードウェアにもよりますが、GPUはレンダリングされたフレームごとに1~3フレームを補間することができます。その結果、体感的なFPSが高くなります。ただし、この強化はシステムの多くのコンポーネントに依存しますが、通常のフレームごとに1つの生成フレームが、フレームレートを2倍にすることは非常に稀であることに注意してください。
フレーム生成が機能する最良のケースは、120Hzのような高リフレッシュレートのモニターがあり、100前後のようなモニターの周波数に近い高いFPSがある場合です。このような場合、フレーム生成はディスプレイのリフレッシュレートに到達するのに役立ちます。
NVIDIA DLSSフレーム生成は、NVIDIA REFLEXを使用してレイテンシを低減しています。他のベンダーのために、Intel XeLLとAMD Radeon Anti Lag 2のサポートも追加しました。これらはREFLEXに似ており、オプションメニューで、ハードウェアに適用される技術のオプションが表示されます。例えば、AMD GPUを使用している場合、Anti Lag 2が表示されます。
なお、フレーム生成とレイテンシ低減はレイトレーシングとは独立しているため、レイトレーシングなしでも使用できますが、これらの技術のほとんどはDX12でのみ動作します。
では、最終的なパフォーマンスはどうなるのか?それは皆さまのシステムの多くの要因に依存しますが、パフォーマンスの向上が見られるはずです。レイトレーシングの現在のパフォーマンスを知るために、MSI ポータブルゲーミングPC Claw 8にて、「映画」グラフィックスプリセット、「中」レイトレーシングプリセット(PTGIも含むすべてのレイトレーシングエフェクトを設定)、XeSSアンチエイリアシング、バランスアップスケーリングで動作する『War Thunder』をご覧ください。
ご覧のように、本ゲームはこのような携帯ゲーム機でも70~90FPSで問題なく動作します。
最後になりましたが、私たちは現在コンソール用のレイトレーシング実施に向けての最終調整を行っております。まもなく、あなた自身で試すことができるようになるでしょう。
The War Thunder Team