大型アップデート「スカイガーディアンズ(Sky Guardians)」フィードバックへ開発チームの見解


『War Thunder』の開発チームが、次期大型アップデート「スカイガーディアンズ(Sky Guardians)」に関する議論において、最も関心度の高いトピックスについてお答えします。

パーンツィリ-S1と他の地対空ミサイル車両


地対空ミサイルシステムのパーンツィリ-S1導入に伴い、ゲーム内のバランスが崩れる可能性があると懸念を抱かれるプレイヤーの皆さまのために、その動作モードに関するいくつかの質問にお答えします。

パーンツィリ-S1の導入が計画された理由として、レーダーとミサイルの組み合わせの面において、2S6/2S6M1 ツングースカ 自走式対空砲の効率は他の競合車両よりも悪く、ゲーム内トップランクのSPAAG(対空自走砲)の中で最も低い統計をいくつか有していることが挙げられます。


一部のプレイヤーの皆さまが、パーンツィリ-S1を導入する代わりに、トールM1やトールM2システムを導入するべきと考えていることは承知しています。しかし、ゲームの統計情報によれば、トールM1も効率の面では悪い車両の一つで、ソ連の高ランク帯の対空兵器に関する問題を解決することができません。一方、トールM2はミサイル数の点に加え、私たちの調査によるとミサイルの機動性の点でも、ほとんどの距離において、パーンツィリ-S1を凌駕しています。固体燃料推進ロケットエンジンを搭載し、デュアルモードで飛翔するトールM2のミサイルは、巡航速度を長時間維持することができ、最大35Gの過負荷耐性を備えているのに引き換え、パーンツィリ-S1の95Ya6ミサイルは、ほとんどの軌道を慣性によって飛翔します。その結果、95Ya6ミサイルは8kmの距離ではトールM1の9M331ミサイルに耐G性能で劣り、極端な距離になると過負荷が5Gまでに低下するため、確実に仕留めることができるのは、UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)のような動きの鈍い目標のみにとどまります。

95Ya6ミサイルの10kmまでの距離における速度特性及び飛翔時間は、VT-1ミサイルと概ね同様ですが、過負荷耐性が大幅に低下します。


また、一部のレーダーモードで、レーダーの照射方位が高仰角で動作する恐れがあることを懸念するプレイヤーの皆さまがいることも認識しています。これは確かに否定できない事実ですが、ゲーム内へ既に実装されているトールM1のレーダーは、最大64°までの仰角をカバーしています!また、ゲームに登場する他の対空システムのレーダーの機能についてもさらなる調査を実施しており、追加の情報を発見した場合は、ゲーム内にそれらの機能を設定する予定です。

マイクロ波帯で作動するパーンツィリ-S1の追尾レーダーが、放射系の警報装置で探知することができないことを懸念するプレイヤーの皆さまからの声には困惑しました。
検証の結果、遠熱線の捜索追尾装置はトップランク帯で最も効果的な追跡用システムであり、ゲーム内のSAM(地対空ミサイル)車両のほとんどが、既に気付かれことなく目標をロックオンできることを改めて確認できました。さらに、トールM1のマイクロ波帯で作動する目標追尾レーダーは、ゲーム内の競合車両と比較し、統計的に優劣性をもたらすほどのものではありません。

また、長距離ミサイルでSAM(地対空ミサイル)を搭載したSPAAG(対空自走砲)に対抗できるのかという疑問も把握していますが、調整されたSACLOS(Semi-Automatic Command to Line of Sight:半自動指令照準線一致誘導)方式の物理的操作へミサイルを移行することで、急角度の機首方位または高高度で高速の目標を攻撃する能力を制限し、この問題は解決されると考えています。半自動で照準を行うコマンドを備えた対空誘導ミサイルは、機動に対して非常に敏感であり、高速でのわずかな軌道の変更で、いかなる航空機も対ミサイルの機動に十分な効果を発揮するでしょう。

パーンツィリ-S1のキルゾーン:



垂直断面図

 

水平断面図(目標高度 100m)


F-16AJの外観と武装



F-16AJプロジェクトは、F-16の試作機での飛行試験終了後、日本へ輸出することを想定して設計されました。試験中の航空機の写真からは、この試作機にはレーダーなどの無線装備が完備されていないほか、AIM-7ミサイルを翼下のパイロンだけでなく、着陸装置のドアや翼端にも搭載していたことを見ることができます。しかし、後続のF-16シリーズからもわかる通り、量産型も含めて、着陸装置のドアのハードポイントは廃止されることになりました。設計者たちがこの決断を下した理由があるのは明らかで、F-16AJでは翼下のパイロンに搭載可能なAIM-7ミサイルが、2発のみに制限されているのもそのためです。また、このようなハードポイントをゲーム内で実装するには技術的な制約が生じます。例えば、着陸装置が故障した場合、AIM-7ミサイルを搭載したドアが引き剥がされた際に武器が失われるなどの問題を招く恐れがあるほか、ミサイルを搭載した着陸装置を破壊することが不可能になるといった、その逆の事態を招く場合もあります。

レーダー、レーダー警報受信機、AGM-65ミサイルについては、このプロジェクトの営業パンフレットの紙面に記載されていたプログラムに基づいた装備となります。F-16の輸出型には、これらのシステムや武装が標準装備されていたため、日本向けのプロジェクトにも、それに準じた装備をしない理由はないでしょう。また、特にレーダーなどの必要な装備を欠いていれば、当時の要求を満たすことができず、十分な戦闘能力が得られないと想定しています。したがって、ゲーム内のF-16AJは、日本の航空自衛隊向けのF-16が運用された場合の外観を再現しており、同シリーズの他の輸出用の改良型と武装の違いはほとんどないものと考えています。

Yak-141の外観と武装



Yak-141は大量生産には至らず、運用されることもありませんでしたが、試作機によるテスト飛行で既に高い性能特性を発揮しており、いくつかの記録さえ樹立しました。ところが、入手したフライトモデルには武装が装備されておらず、モックアップが取り付けられているだけでした。私たちの情報源によると、試験中にレーダーを含む一部のセンサーはモックアップに置き換えられ、IRST(infra-red search and track:赤外線捜索追尾)システムも試作機には搭載されていなかったと記されています。ただし、『War Thunder』では、搭載機器や武装が完全に揃った戦闘機が求められるため、この航空機が最も運用される可能性が高い形で実装することにしました。ゲーム内のモデルは、当時計画及び存在したレーダーや、ソ連製戦闘機の標準装備であるIRST(infra-red search and track:赤外線捜索追尾)システムを搭載しています。また、Yak-141は、対抗手段のコンテナも備えており、他のソ連の航空機のレイアウトと同様に配置されています。ある側面として、「紙面上」の航空機であることは承知していますが、すべてのアビオニクス(航空電子機器)や武器は実際に存在し、機能することが可能でした。R-73ミサイルについては、ソフトウェアの実装がまだ進行中であるため、ゲームへの導入について話すのは時期尚早ですが、将来的には、Yak-141の主武装として設計されたR-77ミサイルと同様に、同機体に導入される可能性は十分にあります。

アリエテ AMV&WAR/PSO装甲キット



大型アップデート「スカイガーディアンズ(Sky Guardians)」に伴い、機動性とシャーシの耐久性が向上した、アリエテ AMV(Aggiornamento Mezza Vita:Mid-Life Update「寿命延長」の意)主力戦車のPT1近代化改修型が登場します。基本型と比較し、この戦車にはより強力なエンジンが搭載されています。プレイヤーの皆さまからのフィードバックに基づき、このモデルには発煙弾発射器を追加する改善を行いました。弾薬の選択肢としては、DM53に加え、DM33がCL3142 APFSDS弾(装弾筒付翼安定徹甲弾)によって置き換えられます。WARまたはPSO装甲キットを装備したバージョンのアリエテ AMVは、効果的なトップランクの車両セットアップを形成するため、将来的に別の車両として導入する予定です。

地対空ミサイルの対抗手段:対レーダーミサイル



ARM(Anti-Radiation Missile:対レーダーミサイル)に関しては、先日公開した「開発者たちがお答えします!」で既にお答えした通りです。このタイプの兵器は非常に複雑であり、プレイヤーの皆さまからは相当に過大評価されているように感じられ、ゲーム内の兵器には高い再現性が求められるため、これらの兵器はいくつかの理由でゲーム内のSAM(地対空ミサイル)との間では、望ましいバランス効果を実現できない可能性があります。まず、ARMのほとんどは、ソ連のS-75やS-300、アメリカのパトリオット及びホークといった、射程距離が長い故に戦術飛行にとって大きな脅威と考えられている「大型」対空ミサイルシステムを破壊するために設計されています。そのため、ARMのシーカーの周波数範囲は、このような対空システムの周波数範囲とは一致する一方、ゲーム内の近距離用のSAMは、ARMのレーダー捜索範囲外の周波数範囲で動作する可能性があります。次に、ARMの誘導における精度は、高いアンテナを備えた大型の防空システムを破壊するには十分かもしれません。しかし、機動性の高いSAMを破壊するには、特に多くのARMの弾頭が近接信管を持ち、破片化されたキルゾーンによって目標が破壊されることを考慮すると、極めて不十分であることがわかります。

ただし、 ARM(Anti-Radiation Missile:対レーダーミサイル)システムは、ゲームプレイやバランス調整に対する興味深いオプションだと考えており、このタイプの兵器をさらに研究することを計画しています。ARMの動作モードに関する新たなデータを発見した場合は、ESM(Electronic Support Measures:電子支援対策)やジャマ―といった電子戦における他の手段同様、ゲームに追加する可能性があります。

地対空ミサイル搭載の対空自走砲におけるリスポーンポイントコストの全体的な増加



長距離用のSAM(地対空ミサイル)システムに、リスポーンポイント(RP)のコスト増加を検討していますが、その判断は効率を分析したデータを最初に取得した後に行う予定です。



The War Thunder Team