Dagor Engine 6.5:高解像度テクスチャ




今回は、全体的なグラフィックス改善、4K及び8K解像度のゲームクライアント、そして芸術的ニューラルネットワークについてご紹介します。

必要な変更


『War Thunder』に最近導入された兵器やアセットモデルは4Kまたは8Kの解像度で作成されていますが、これほどの高解像度のテクスチャはゲームクライアントのサイズを大幅に増加させることになるだけでなく、2012年に『War Thunder』に初めて導入された一部の航空機など、2K解像度のテクスチャで作成されたコンテンツも多数あります。しかし、技術が進化するにつれて、モニターの解像度やハードドライブのサイズ、インターネットの速度が向上したため、これに伴ってゲームのグラフィックも改善したいと考えています。さらにゲームの質を向上させるため、現代のゲーム水準を満たす高解像度を提供可能な新しいウルトラHD(Ultra High Definition)テクスチャパックを『War Thunder』に導入し、今後のアップデートではその一歩を踏み出します!

選択可能なゲームクライアント


高解像度テクスチャを用いた新しいグラフィックスに移行するためには、ゲーム内のすべてのテクスチャを再構築する必要があります。プレイヤーの皆さまはアップデート実施後に3種類のゲームクライアントバージョンを選択可能となり、720pの解像度でお試しプレイに適した最小サイズ、現在の『War Thunder』における表示と同様の解像度のテクスチャで最大1080pまでのプレイに適した標準サイズ、戦車・航空機・ヘリコプター・環境オブジェクトのテクスチャが4K/8Kの解像度で映し出されるウルトラHD(1440/2160p)でのプレイに適したパターンをご用意しています。残念ながら、標準または最小のクライアントがお好みの場合でも、今後のアップデートの実施後には非常に容量の大きなアップデートを一度ダウンロードすることになります。これは、高解像度のグローバルレンダリングへの移行という技術的特徴に加え、表面を生成する技術の向上に伴い大部分のゲーム環境のテクスチャも作り直す必要があるため、不可欠となります。




UHDテクスチャへのアップグレードを希望するプレイヤーの皆さまは、標準のクライアントの後にインストールされる追加のゲームデータをダウンロードするよう求められます。また、次世代コンソール機をお持ちの場合は、テクスチャの品質を選択可能な同様のオプションを無料DLCとして配信する予定です(十分な容量と4Kに対応していることをご確認ください)。前世代コンソール機はメモリが不足しているため、高解像度テクスチャを用いたクライアントは使用不可となりますことご了承ください。

芸術的ニューラルネットワーク


戦車や艦艇モデルなどゲーム環境における新たな追加要素のテクスチャは、予め4Kまたは8Kのフォーマットで作成されたものの、ディスク容量の節約のために圧縮されていることから、ほとんどが超高解像度化するための修正を必要としません。しかし、航空機のテクスチャについては事情が異なります。実は『War Thunder』における航空機のテクスチャのほとんどはモデルの大きさに直結して作成されているため、高解像度及び高品質で表示するために必要なサイズのファイルは存在しません。それを実現する唯一の方法は、ゲーム内のほとんどの航空機のテクスチャをすべて作り直すことです!提携先の製作スタジオの協力を得たとしても、このような作業をアートチームが完了させるには数年がかかります(1機の航空機に対し2~3のテクスチャを用います)。そこで、Gaijin Entertainmentに在籍するプログラマーの助けを借り、元の画像の複合的な解析に基づいてテクスチャをスケーリングする方法を学習させたニューラルネットワークを作成し、そのネットワークを『War Thunder』の兵器のテクスチャ対して精密に応用させたのです。この技術の本質は、人工知能が画像の領域とその中の個々のピクセルを解析し、画像を新しいピクセルで補完することにあります。その結果、解像度が上がり、最終的なテクスチャの品質が向上するのです。




航空機やヘリコプター、計器盤、コックピットの内部のテクスチャに加えて、建物や岩、歩道、石畳の舗道、縁石、柵などを含むその他多数のロケーション内にある環境要素のテクスチャも同様に、ニューラルネットワークによる処理が行われます。人工知能は、ゲーム内の全テクスチャの品質を細部まで欠けることなく大幅に向上するという素晴らしい効果をもたらしました。さらに私たちは、航空機の胴体に刻まれた極小の技術的な銘刻の処理について、ニューラルネットワークのアルゴリズムにある1つの側面に気付きました。これらの地上サービスにおけるサービスマークは、以前は判読不可能でしたが、ニューラルネットワークの処理によって、奇妙なことに英国の作家であるトールキン氏の作品に見られるエルフ語を想起させるような形になりました。もちろん、ニューラルネットワークはどの言語の知識も持ち合わせていません。しかし、機体や胴体に施された重要な注意書きやマーク、デカールなどがほぼ完全に判読可能となり、さらに全体的なテクスチャの品質も大幅に向上したため、このような変化は全く問題ないと考えています。これらの装飾を修正するには手動の作業を要するため、今後実施されるいくつかのアップデートで対応する予定です。




今後の予定


次期大型アップデート「ウィンドオブチェンジ(Wind of Change)」の開放されたDevサーバーでは、『War Thunder』を超高画質で体験可能です。グラフィックエンジンをDagor Engine 6.5に更新することで、拡張性のあるテクスチャや新しいサーフェスレンダリング、多数の改善と修正がもたらされる予定です。現在Gaijin Entertainmentの開発チームは、皆さまがテストしてフィードバックを残す機会を得られるように、それらに磨きをかけています。『War Thunder』の大型アップデートのグラフィックス機能に関する開発ブログは今後も公開予定のため、お見逃しなく!



The War Thunder Team