『War Thunder』:光学コントラストモード

今回は、81式短距離地対空誘導弾(C) (短SAM改)の開発記事でも述べたフォトコントラストモードについてお伝えします。つまり、『War Thunder』における赤外線誘導ミサイル機能の今後の改良に加え、これによって赤外線誘導ミサイルのゲームプレイにどのような変化がもたらされるのかを詳しく説明します。

赤外線シーカーの技術的背景


赤外線ホーミング弾頭は、空対空ミサイルや地上から発射される地対空ミサイルで広く使用されています。これらは、効果的なミサイルの誘導軌道を利用できるほか、安価かつ、目標へ放射するものを照射しないという利点を兼ね備えています。表面上、敵の熱源をミサイルの主要目標にすることには、いくつかの重要な利点があります。一方その反面で、目標の熱放射をどのように捕捉するかといった大原則には、いくつかの欠点も存在します。というのも、これが機能するためには、目標が赤外線を放射している必要があるためです。赤外線放射の強度は高ければ高いほど望ましく、目標のロックオンと追尾が実際に機能する範囲は、これによって大きく左右されます。これに加え、熱源を狙うミサイルは、フレアのような偽の赤外線の放射源に簡単に欺かれる可能性があります。


ピストンエンジンや、ターボプロップエンジンを搭載した低速の航空機は多少の熱を放出し、多くの場合、ジェットエンジンの放射は正面からはほとんど見えません。赤外線ホーミングシーカー弾頭は、このような目標を比較的離れた距離からでも探知することができます。携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)の場合、同じ赤外線シーカーでも、最大で2km~3kmの距離から小型のヘリコプターを捕捉することしかできません。しかし、この距離では、航空機用の無誘導ロケット弾であっても、簡単に撃たれる可能性があります。このような特定の条件下でも赤外線シーカーを搭載した対空ミサイルなら、発射直後に離脱する目標へと命中する可能性があります。ただし、この場合は、その限られた瞬間に発射できるかどうかにかかっています。


フォトコントラストモードの使用


防空の一環として、赤外線シーカーを使用する際のこのような欠点は、特に1960年代に顕著でした。何故なら、当時はまだ赤外線シーカーの開発が進んでおらず、前方半球の目標から有用な熱信号を確実に分離することができなかったためです。そこで、可視波長範囲を目標の追尾に利用するというアイデアが生まれました。照準にフォトコントラストのホーミング弾頭を使用した最初の防空システムの一つが、ストレラ-1(Strela-1)でした。これにより、対向射線上にいる目標を捕捉して交戦することが可能となり、目標が攻撃を開始する前であっても部隊に対する防空を確保することができました。ただし、フォトコントラストチャネルにも、考慮すべき独自の欠点があります。それは、目標との交戦は日中かつ晴天時に限られ、目標の背後の背景は均一でなければならないことです。

デュアルバンドとトリプルバンドのホーミング弾頭を複合することで、この欠点を解消し、全天候および昼夜を問わず、ミサイル防衛システムを機能させることができるようになります。困難な気象条件、低空飛行目標や夜間では赤外線モードによる誘導を使用し、長距離からの発射や熱源が弱い目標に対しては、フォトコントラストモードを使用することができます。また、衝突進路上にいる目標が対抗手段を使用している場合は、フォトコントラストモードの使用を推奨します。これは、フォトコントラストチャネルが、赤外線に比べて感度が低いためです。このタイプのデュアルバンドシーカーは、ゲーム内ではすでにストレラ-10M2の9M37Mミサイルシステムに搭載されています。赤外線チャンルを使用することで、このミサイルは全天候対応型となる一方、フォトコントラストチャンネルの使用により、ミサイルの最大飛翔距離を超える長距離から目標を捕捉して発射することができます。


『War Thunder』のフォトコントラストモード


『War Thunder』では、ストレラ-1システムの後継ミサイルである、ストレラ-10M2 SAM(Surface to Air Missile:地対空ミサイル)の9M37Mミサイルと、日本の93式近距離地対空誘導弾(近SAM)にフォトコントラストチャンネルが搭載されます。次期大型アップデート「キングスオブバトル(Kings of Battle)」の実施に伴い、81式短距離地対空誘導弾(C) (短SAM改)もこの改良の恩恵を受けます。ゲーム内では、フォトコントラスト、赤外線、およびデフォルトで有効になっている自動の3つのモードを切り替え可能です。自動モードでは、シーカーが最適なモードでロックオンを実行しますが、発射後はモードの切り替えができなくなることに注意する必要があります。もし、目標がフォトコントラストモードでロックオンされたにもかかわらず、地上へ降下することで回避した場合、目標の追尾は失敗し、ミサイルが命中することはありません。


次期大型アップデート「キングスオブバトル(Kings of Battle)」では、今回ご紹介した改善点の他にも、さまざまな改良を実施する予定です!それまでは、バトルを楽しんでください!また、お会いしましょう!



The War Thunder Team